引越しの際、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は特に注意が必要です。適切な手順を踏まずに運搬すると、故障や水漏れ、カビの原因となることがあります。
ここでは、引越し前に行うべき「冷蔵庫・洗濯機の準備」について、水抜き方法や搬出時のポイントをわかりやすく解説します。
目次
冷蔵庫の引越し準備手順
引越しの際、冷蔵庫は最も注意が必要な家電のひとつです。内部に水分や氷が残ったまま運搬すると、水漏れやカビ、さらには故障の原因にもなります。
また、冷媒ガスを含む機器であるため、正しい手順で電源を切り、安定した状態で搬出することが大切です。ここでは、冷蔵庫の引越し準備を「いつ」「何を」「どう行うか」に分けて、わかりやすく説明します。
1. 引越しの2〜3日前から始める準備
中身の整理と消費
- 冷蔵庫・冷凍庫内の食品をできるだけ使い切る
- 生鮮食品は引越し前日までに消費し、残った食品はクーラーボックスなどで保管
- 調味料や瓶類はしっかりと蓋を閉め、ラップやビニールで包むと液漏れ防止になる
製氷機と給水タンクの処理
- 自動製氷機の水タンクを空にし、水を完全に捨てる
- 製氷皿や氷はすべて取り除いておく
- 製氷フィルター部分も軽く清掃しておくと引越し後に衛生的に使用できる
2. 引越し前日:電源を切る・霜取りを行う
電源を抜くタイミング
- 引越しの前日夜から当日朝にかけて電源を切る
- コンセントを抜いたら扉を開け、庫内を乾燥させる
- 冷凍庫がある場合は、少なくとも前日夜までには電源を切るのが望ましい
霜取り作業
- 古い冷蔵庫や冷凍庫は霜が付いている場合がある
- 電源を切り、扉を開けて自然解凍する
- 解けた水が床にこぼれないよう、下にタオルや新聞紙を敷いておく
- 霜が完全に溶けたら、庫内やトレイの水分を乾いた布で丁寧に拭き取る
排水トレイ(ドレンパン)の水抜き
- 冷蔵庫の下部または背面にある排水トレイを確認
- 溜まっている水を捨て、しっかり乾燥させる
- 放置すると運搬中に水漏れの原因になるため、必ず実施する
3. 搬出前の最終準備
内部・外部の清掃
- 庫内を中性洗剤で軽く拭き、水拭き・乾拭きで仕上げる
- ゴムパッキン部分も忘れずに拭き取り、カビ予防を行う
- 外側のホコリも落としておくと、新居での設置がスムーズ
扉と部品の固定
- 運搬中に扉が開かないよう、養生テープや紐で軽く固定する
- 強力なテープは塗装を傷つけるため使用しない
- 棚板やドアポケットなどの取り外し可能な部品は、個別に梱包しておく
- ガラス製の棚板は特に破損しやすいため、タオルや緩衝材で保護する
【搬出・運搬時の注意点】
立てたまま運ぶ
- 冷蔵庫は必ず立てた状態で運搬する
- 横倒しにすると冷媒ガスやオイルが偏り、故障の原因になる
- 階段や狭い通路では一時的に傾けても、すぐに立て直すようにする
運搬ルートの確認
- 玄関や通路の幅を事前に測り、搬出経路を確認する
- 通らない場合は扉の取り外しや吊り作業が必要になることもある
- 引越し業者にサイズを伝えておくと作業がスムーズ
【新居での設置時のポイント】
設置前に待機する
- 搬入後すぐに電源を入れず、2〜3時間放置して内部の冷媒を安定させる
- 横に倒した場合はさらに長め(4〜6時間程度)待つのが安心
設置位置の確認
- 壁から5cm以上離して設置し、放熱スペースを確保する
- ガスコンロや直射日光の当たる場所は避ける
- 床が平らであることを確認し、アジャスターで水平を調整する
通電後の確認
- 電源を入れて数時間後、庫内が冷えているかを確認する
- 振動や異音がある場合は設置位置を微調整する
- 電源を抜いてすぐ運搬し、冷媒が偏って故障した
- 排水トレイの水を抜かずに搬出し、水漏れした
- 霜取りを怠り、解凍水が荷台にこぼれた
- 扉固定を忘れて運搬中に開き、破損した
洗濯機の引越し準備手順
引越しで特に注意が必要な家電のひとつが洗濯機です。内部には多くの水が残っており、そのまま運搬すると水漏れやサビ、故障の原因になります。
また、ドラム式洗濯機は内部のドラムを固定しないまま運ぶと、輸送中の振動で破損するおそれもあります。
ここでは、縦型・ドラム式の両タイプに対応した「洗濯機の引越し準備手順」を、手順を追って詳しく解説します。
1. 引越しの前に準備しておくもの
- バケツ(排水ホースから出る水を受けるため)
- 雑巾・タオル(周囲の水拭き用)
- ドライバー(ホースの固定具を外す場合)
- 軍手(搬出時の安全確保)
- ドラム式の場合:輸送用固定ボルト(購入時に同梱されていたもの)
2. 水抜き作業の手順(縦型洗濯機)
洗濯機を運搬する前に、必ず内部とホース内の水を抜く必要があります。以下の手順を順に行ってください。
1. 給水ホースの水抜き
- 水道の蛇口を閉める
- 洗濯機側の電源を入れ、「給水ホースを外す前に短時間だけ脱水運転」を行う → 残った水が排出されやすくなる
- 給水ホースを外し、ホース内に残った水をバケツなどで受け止める
- ホースの両端をタオルで拭き、水滴を完全に取り除く
2. 排水ホースの水抜き
- 脱水運転を停止した後、排水ホースを外す
- ホースをゆっくり持ち上げ、残っている水をすべてバケツに流す
- ホース内部を下向きにしてしばらく置き、水を完全に出す
- 排水口周辺に残った水分を雑巾で拭き取る
3. 洗濯槽の水抜き
- 洗濯槽の中をタオルで拭き取り、蓋を開けて数時間乾燥させる
- 内部に水分が残ると、カビやニオイの原因になるため、しっかり乾かすことが重要
3. ドラム式洗濯機の特別な準備
ドラム式洗濯機には、内部ドラムを固定するための「輸送固定ボルト(輸送固定具)」が必要です。これを装着しないと、運搬中の振動でドラムが揺れ、軸やバネが破損する可能性があります。
手順
- 購入時に付属していた固定ボルトを用意する
- 洗濯機背面の固定穴にボルトを差し込み、付属の工具またはドライバーで固定する
- ボルトの装着が完了したら、軽く本体を揺らして内部ドラムが動かないことを確認する
※固定ボルトを紛失した場合は、メーカーから取り寄せ可能です。 ボルトなしでの運搬は絶対に避けましょう。
4. 搬出前の最終チェック
コード・ホースの処理
- 電源コードとホース類をまとめ、ビニールテープや結束バンドで軽く固定する
- 運搬中に床を擦らないよう、洗濯機の背面に貼り付けておく
外観・底面の確認
- 洗濯機底部のゴミやホコリを掃除する
- 床面や排水口に水が残っていないか確認する
扉・蓋の固定
- 扉が開かないよう、軽くテープで固定する
- 強粘着テープは塗装を傷める可能性があるため避ける
【搬出・運搬時の注意点】
- 洗濯機は傾けすぎないように運搬する(特にドラム式は慎重に)
- 持ち上げる際は本体下部を持ち、無理に上部を掴まない
- 運搬経路(廊下・階段・ドア幅)を事前に確認しておく
- 大型の場合は無理せず、引越し業者や家電配送専門スタッフに依頼する
【新居での設置時のポイント】
設置場所の確認
- 排水口・蛇口の位置を確認し、ホースが無理なく届く場所に設置
- 床が水平であることを確認(傾くと振動や騒音の原因になる)
- 防水パンがある場合はサイズを合わせて設置する
設置後の再接続
- 給水ホースを蛇口に接続し、しっかりと締める
- 排水ホースを排水口に差し込み、固定具で留める
- 電源を入れて通水テストを実施 → 水漏れがないかを確認し、問題なければ運転テストを行う
ドラム式の固定解除
- 設置後に忘れず、輸送固定ボルトを外す
- 外したボルトは今後の引越しに備えて保管しておく
- 水抜きをせずに運搬し、排水ホースから水漏れした
- ドラム式の固定ボルトを装着せずに運搬し、ドラムが故障した
- ホースを外す際に水を受ける容器を用意しておらず、床を濡らした
- 設置後に水平を確認せず、脱水時に大きな振動が発生した
引越し業者に依頼する場合のポイント
冷蔵庫や洗濯機は重量があり、内部構造も繊細なため、引越しの際には専門的な知識と慎重な取り扱いが求められます。
自力で運ぶことも可能ですが、搬出ルートの確保や搬入時の設置ミスによる故障リスクを考えると、引越し業者に依頼するのが安全です。
ただし、業者に任せる場合でも、依頼主側で事前に行うべき準備や確認事項があります。ここでは、冷蔵庫と洗濯機を業者に運搬してもらう際のポイントを詳しく解説します。
1. 引越し前に行っておくべき準備
水抜き・電源OFFは依頼主が行う
- 冷蔵庫の場合・前日夜に電源を抜き、庫内を乾燥させる・排水トレイの水を捨てておく・扉はテープで仮固定し、食材はすべて出しておく
- 洗濯機の場合・事前に水抜きを行う(脱水運転→ホースの水を排出)・給水ホースと排水ホースを外しておく・ドラム式は輸送用固定ボルトを装着
これらの作業を行っていないと、業者が作業を中断し、その場で水抜き作業を依頼した場合は追加料金が発生することもあります。
2. 作業日当日の確認ポイント
運搬経路の確保
- 搬出・搬入ルートを事前に片付けておく
- 通路や玄関の幅が狭い場合は、ドアの取り外しや養生が必要になることがある
- 階段やエレベーターの有無を事前に伝えておくと作業がスムーズ
養生(ようじょう)作業の確認
- 家屋の壁・床・ドア枠を保護する「養生」は業者の基本作業
- 養生が不十分な場合は、傷や凹みの原因になるため、作業前に確認する
立ち会いと指示
- 冷蔵庫や洗濯機の搬出・設置位置は、作業前に明確に伝える
- 設置後に「水平調整」「電源接続」「通水テスト」を行うかどうかを確認する
3. 引越し業者の選び方
家電の扱いに慣れている業者を選ぶ
- 「大型家電専門」や「家電輸送サービス」を提供している業者を選ぶと安心
- 一般的な引越し業者でも対応可能だが、冷蔵庫やドラム式洗濯機の扱い経験が多いかを確認する
保険・補償内容を確認する
- 運搬中に家電が破損した場合、補償の対象になるかどうかを必ず確認する
- 無償補償が付いているか、有料オプションかも要チェック
- 設置後の不具合(冷えない、回転しない等)は補償外の場合もあるため注意
無料サービスの確認
- 一部の業者では以下のサービスを無料で提供することもある・家電の設置・ホース接続・アース線取り付け・設置場所の調整(水平確認など)
契約前に「基本料金に含まれる作業内容」を明確にしておくと、後のトラブルを防げます。
【追加料金が発生しやすいケース】
- 水抜き・霜取りをしていない状態での引き取り
- 冷蔵庫を横倒ししなければ搬出できない構造の住宅
- 階段作業・吊り上げ作業が必要な場合
- 搬入先の通路が狭く、特殊作業が発生する場合
- ドラム式洗濯機の輸送固定具がない場合
これらは多くの業者で「特殊作業」として扱われ、追加料金(3,000〜10,000円程度)が発生します。見積もりの段階で現場の状況を伝えることが重要です。
【搬入後に確認すべきこと】
冷蔵庫
- 設置後すぐに電源を入れず、2〜3時間待ってから通電する
- 壁から5cm以上離して設置(放熱スペースを確保)
- 異音や冷却不良がないかを確認
洗濯機
- ホース接続部から水漏れがないか確認
- 水平になっているかチェックし、必要に応じてアジャスターで調整
- 試運転を行い、正常に給水・排水・脱水できるか確認
【トラブルを防ぐためのポイント】
- 作業前に家電の状態(キズ・ヘコミ・動作状況)をスマートフォンで撮影しておく
- 業者立ち会い時に、破損や不具合があった場合はその場で申告する
- 設置後すぐに通電・試運転を行うのではなく、冷蔵庫は数時間置いてから動作確認する
4. 依頼主がやるべき最小限の作業チェックリスト
| 項目 | 実施タイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 水抜き・電源OFF | 前日まで | 洗濯機と冷蔵庫の準備 |
| 搬出ルート確認 | 前日〜当日 | 通路・ドア幅をチェック |
| 立ち会い | 当日 | 設置位置の指示・確認 |
| 設置確認 | 当日 | 通電・水平・漏水チェック |
| 補償確認 | 見積もり時 | 破損時の対応内容を確認 |
|