2024年4月1日から、トラック運転手などを対象とした時間外労働の上限規制が適用されました。これは「働き方改革関連法」によるもので、以下のような規制が導入されます。
- 年間の時間外労働は 960時間まで(月平均80時間)
- 休日労働を含めても 過労死ラインを超えないように制限
- 違反企業には是正勧告や罰則あり
長年、長時間労働が常態化していました。むしろ、それに支えられてきた業界です。
- トラックドライバーの年間労働時間:約2,500時間超(全産業平均より20%以上多い)
- 荷待ち・荷役(積み下ろし)作業に時間がかかる
- 渋滞・長距離移動・過剰な当日配送要望などが日常的にある
その結果、過労死・人手不足・若者離れが深刻になり、政府は働き方改革の一環として対策に乗り出しました。
引越しもトラック業界の一つです。その為、引越し業界も大きく変化してきていますので、この法改正で変化した引越しについて知っておきましょう。
目次
法改正で予想される今後
法改正により国土交通省・物流専門家の予測によると
- 2030年までに運送能力の約34%が不足
- 運ばれるはずの荷物の3分の1が運べなくなる可能性
- 消費者への価格転嫁(値上げ)は避けられない
と言われています。
つまり、引越し業界の影響として下記が挙げられます
① 人手不足・稼働制限による「引越し件数の制限」
② 引越し料金の値上げ
③ 予約方法の変化(ネット予約・抽選制)
④ 引越しの平準化(オフピークへの誘導)
人手不足・稼働制限による「引越し件数の制限」
単純に引越し請負が出来る件数が減るという事です。
① ドライバー・作業員の人手不足
- 引越し業界は体力・拘束時間の負担が大きく、若年層の就業者が少ない
- 高齢化も進行、経験者の離職が加速
- 休日・深夜勤務も多く、人材定着率が極端に低い業界
② 働き方改革による稼働時間の法的制限(2024年問題)
- トラック運転手に「年間960時間までの時間外労働制限」が適用
- 長距離便や複数件数の一括対応ができなくなった
- 1日でこなせる引越し件数が物理的に減少
件数制限によって起こること
① 繁忙期(3~4月)に予約できない
新生活シーズンに集中しすぎ、件数制限で締め切りが早まる
② 地域によっては受注停止
特に地方部では、スタッフ確保ができず「対応不可エリア」も増加
③ 一部の便・時間帯が選べない
午前便・土日・祝日など人気枠はすぐ埋まり、午後便しか選べない
④ 法人引越しの集中契約に対応できない
大学・企業の一括契約が困難に(予約抽選制も登場)

引越し業者の対応
様々な規制がある中、引越し業者もまったく対策していない訳ではありません。
① 配車・スケジュールの最適化(IT活用)
内容 | 解説 |
---|---|
配車システム導入 | AIやクラウドベースの配車ソフトで、移動時間・作業時間を効率的に管理 |
動態管理 | GPS連動でトラックや作業員の位置をリアルタイムで把握し、空き時間を即座に活用 |
最短ルート算出 | 渋滞を避けて無駄な移動を削減、1日あたりの件数を増やす工夫 |
→ 無駄な待機・移動を徹底排除することで、限られた労働時間を最大活用
② 作業の分業化(役割分担による効率化)
内容 | 解説 |
---|---|
ドライバーと作業員の分離 | 運転手は運転に集中し、搬出入作業は専任スタッフが対応(現場滞在時間の短縮) |
一時的なアルバイト雇用 | 荷造り補助や清掃、軽作業などを分担する「スポットワーカー」活用 |
→ ドライバー1人あたりが担当できる案件数を実質増やす工夫
③ 時間帯指定の細分化・柔軟対応
内容 | 解説 |
---|---|
午前・午後・夕方など細かい時間帯の設定 | 作業の流れをコントロールしやすく、日中の作業を詰め込みやすい |
フレックスタイム引越し | 時間指定せず業者に一任する代わりに安価にする方式(作業の自由度向上) |
→ 顧客の時間指定を柔軟化させ、スケジュール効率を最適化
④ 混載便(シェア便)の活用
内容 | 解説 |
---|---|
「他人の荷物と一緒に運ぶ」スタイル | 同じ方面に複数の荷物をまとめて一括配送することでコスト削減&件数増加 |
単身者や小口荷物が対象 | 日時指定の柔軟性が求められるが、コストと効率の両立が可能 |
→ 荷台の空きスペースを無駄なく使い、1便で2~3件対応も可能に
⑤ 簡易引越しプラン(パッケージ化)
プラン名(例) | 特徴 |
---|---|
単身パック | 荷物が少ない単身者向け。コンテナ単位の定額制 |
学生・新社会人パック | 時間・荷物量を限定して効率運搬。春の繁忙期対策 |
荷造りなしプラン | 梱包を客側に任せ、運搬に特化することで作業時間を短縮 |
→ 業務内容を明確化・簡素化することで、短時間で多数案件をこなす工夫
⑥ 倉庫・保管サービスの強化
内容 | 解説 |
---|---|
一時預かり倉庫 | 引越し前後の荷物を一時保管し、時間に余裕をもたせて配車調整 |
家財の分割配送 | 「先に荷物だけ出す」「後日配送」など、作業時間を分散できる仕組み |
→ スケジュールをずらすことで、作業の“集中”を緩和できる
⑦ 業界横断的な共同便・業者連携
内容 | 解説 |
---|---|
他社との業務提携 | 近隣業者やネットワークを活用し、人手が不足している地域でも対応可能に |
地域共同配送 | 中小業者が連携して、同一エリア内で効率的に作業を分担 |
→ 自社のリソースを補いながら、エリア対応力を維持する仕組み
など様々な対策を講じていますが、それでも以前のような件数を請負うことは不可能です。引越しの業界も大きな変革期にありますので、引越しを予定している方はその辺りを認識しておく必要があります。
私たちがとるべき対策
引越しを可能件数が少なくなるなら引越しを前々から準備する必要性がさらに増した事になります。
引越し業者を選ぶから引越し業者から選ばれる立場になりかねません。
特に繁忙期は、これまでも予約困難な状況が物理的にさらに困難になります。そのため、
私たちが引越しをする際にはその対策は必須です。
- 引越し日は早めに決定&見積もり(2~3ヶ月前推奨)
- 複数業者に依頼して比較(相見積もりは必須)
- オフピーク(5月・6月など)や平日の利用を検討
- 荷物を減らして「単身パック」など小口便を活用
- どうしても混雑期なら「仮予約」や「抽選制」を確認
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